宮崎駿のアレンジ技術 となりのトトロ編② [映画]
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さて、続きです。
読まずに、え?映画の話?と思われるかたもいるかもわかりませんが、そんなことはなく、ここではこれからもいろいろ本と絡ませていきます!
アリスのチェシャネコと、猫バスのほかにも、トトロには、いろんな作品から引っ張ってきた表現がある。
たとえば、まっくろくろすけのシーン。
めいとさつきが、戸を開けると、まっくろくろすけがぶわっとあふれ出ているあのシーンである。
あれは、佐藤さとるの、『だれも知らない小さな国』の一シーンを、真っ黒クロス家に置き換えて表現したものである。
それは、どんなシーンかというと、少年が、小人が住む家を作って、その家の戸を開けると、家の中にいたたくさんの小人たちが、いっせいにかくれる……というシーンである。
このシーンは、文章を読んだだけで、すごくイメージさせられるというか、非常にいいシーンなんですが、
宮崎駿はこの本を読んでいるのはわかってるんだけど、絶対にここを視覚化させたいと考えたに違いないと思うんです。
それが、まっくろくろすけのしーんで使われている。
僕は、この『誰も知らない小さな国』を読むまでは、そんなこと気づきもしませんでした。
だけど、読んだ人ならピンと来るはず。
ここは、小人をまっくろくろすけに置き換えて、映像という形で宮崎駿がアレンジしたのだ・・・と、わかっていただけると思う。
宮崎作品には、ほかにもそういう個所がたくさんあって、それがおもしろい。
見ている人は、たいてい元ネタを知らないから、アレンジしているとは気づかない。
でも、宮崎駿の大きな特徴は、このアレンジする力にあると僕は思っていて、それを映像として、繊細さと大胆さを持って圧倒的な表現として映し出すから、説得力があって面白い。
トトロ自体は、最初はミミズクだったが、これをどんどん変化(アレンジ)させて、トトロにしてしまう。
こういったことが、ほんとにうまい。それは、イメージ力に支えられているんだと思う。
トトロ編はとりあえずこんなところにします! ご一読ありがとうございました!
まずは、この写真を見てほしい。
これは、ルイスキャロル原作、『不思議の国のアリス』に出てくる、チェシャネコである。
アリスといえば、だれもが知らないはずはない有名作であり、ディズニーの映画化も相まって、有名である。
最近は、ジョニーデップ主演の、『アリスインワンダーランド』という映画も作られた。
余談だが、この映画も続編ができるようである。
さて、本題は、宮崎駿原作『となりのトトロ』に、このチェシャネコが出てくることである。
その猫とは、言わずと知れた、猫バスだ。
猫バスの写真ははれないが、見た方は思い出してほしい。猫バスは、ほとんどいつも、にやにや笑っている。そして、映画の最後、にやにやを残して消えるわけである。
これは、チェシャネコそのものである。
チェシャネコはいつもにやにや笑い、そして、消える最後、にやにやだけを残して消えるのだ。
原作を読んだ方ならわかるだろうが、アリスはにやにやだけ残して消えてしまうチェシャネコを見て、
「にやにやだけのこすだなんて!」と、びっくり仰天の体である。
ここには、ルイスキャロルの遊びごころがある。
チェシャネコのもともとの由来は、英語で、チェシャーキャット(Cheshier cat)という表現が本当にあって、「わけもなくニヤニヤ笑う」という意味で使われているというところからきているのだが、ルイスキャロルは、そのことに注目して、にやにや笑いを強調しているのだ。
にやにやだけを残すだなんて、最近で言う、「ドーナツの穴だけ残して食べる)ようなものである。
さて、ぼくは、宮崎駿という人間に興味を持っていて、彼の仕事ぶり、発言、好きな本など、いろいろ調べた。
その結果、岩波少年文庫の100冊で、『ふしぎの国のアリス』が取り上げられているのに気づいた。
宮崎駿はアリスを読んでいることは間違いないだろう。つまり、宮崎駿は、「猫」と、「バス」と「チェシャネコ」を混ぜて、猫バスを作ったのである。
このように、チェシャネコと猫バスは、切っても切れない関係にある。
ところが、我々は、アリスをよく知っているくせに、猫バスをみても、「これはアリスから取ってきているのだ!」とは気づかない。僕自身、ずっとわからなかったし、まったくおかしな話だが、本当に、なかなか気づかないのだ。
なぜか。
ここからは個人の考察になるが、すなわち、猫バスには、バスという要素が非常に大きいからといえるだろう。
猫がバスに化けている! これはもう、びっくり仰天である。ほとんどだれも、考え付かない。
そしたら、もう、そのことが気になるのである。
あのおなかのなかはどうなってるのだろうか?乗れるのか?
そんなことばかり気になって、その猫が笑っていようが、消えようが、そんなことはあんまり気にならないのではあるまいか。
ちなみに、当時のバスの形はこんなだった。
あと、トトロも頻繁に笑っている。これも相まって、猫バスが笑うのは、自然なこととして受け止めてしまうのではないか。
このようにして、知ってか知らずか、宮崎駿は本当に巧みに「チェシャネコ」を「猫バス」に取り組むことに成功しているのである。つづく。
いろいろまとめ(^O^)
音楽(ピアノ)まとめ
http://op63op29pia30845.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
本まとめ
http://op63op29pia30845.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-1
文鳥まとめ
http://op63op29pia30845.blog.so-net.ne.jp/2015-07-08-1
絵まとめ
http://op63op29pia30845.blog.so-net.ne.jp/2015-07-08-2
さて、続きです。
読まずに、え?映画の話?と思われるかたもいるかもわかりませんが、そんなことはなく、ここではこれからもいろいろ本と絡ませていきます!
アリスのチェシャネコと、猫バスのほかにも、トトロには、いろんな作品から引っ張ってきた表現がある。
たとえば、まっくろくろすけのシーン。
めいとさつきが、戸を開けると、まっくろくろすけがぶわっとあふれ出ているあのシーンである。
あれは、佐藤さとるの、『だれも知らない小さな国』の一シーンを、真っ黒クロス家に置き換えて表現したものである。
それは、どんなシーンかというと、少年が、小人が住む家を作って、その家の戸を開けると、家の中にいたたくさんの小人たちが、いっせいにかくれる……というシーンである。
このシーンは、文章を読んだだけで、すごくイメージさせられるというか、非常にいいシーンなんですが、
宮崎駿はこの本を読んでいるのはわかってるんだけど、絶対にここを視覚化させたいと考えたに違いないと思うんです。
それが、まっくろくろすけのしーんで使われている。
僕は、この『誰も知らない小さな国』を読むまでは、そんなこと気づきもしませんでした。
だけど、読んだ人ならピンと来るはず。
ここは、小人をまっくろくろすけに置き換えて、映像という形で宮崎駿がアレンジしたのだ・・・と、わかっていただけると思う。
宮崎作品には、ほかにもそういう個所がたくさんあって、それがおもしろい。
見ている人は、たいてい元ネタを知らないから、アレンジしているとは気づかない。
でも、宮崎駿の大きな特徴は、このアレンジする力にあると僕は思っていて、それを映像として、繊細さと大胆さを持って圧倒的な表現として映し出すから、説得力があって面白い。
トトロ自体は、最初はミミズクだったが、これをどんどん変化(アレンジ)させて、トトロにしてしまう。
こういったことが、ほんとにうまい。それは、イメージ力に支えられているんだと思う。
トトロ編はとりあえずこんなところにします! ご一読ありがとうございました!
まずは、この写真を見てほしい。
これは、ルイスキャロル原作、『不思議の国のアリス』に出てくる、チェシャネコである。
アリスといえば、だれもが知らないはずはない有名作であり、ディズニーの映画化も相まって、有名である。
最近は、ジョニーデップ主演の、『アリスインワンダーランド』という映画も作られた。
余談だが、この映画も続編ができるようである。
さて、本題は、宮崎駿原作『となりのトトロ』に、このチェシャネコが出てくることである。
その猫とは、言わずと知れた、猫バスだ。
猫バスの写真ははれないが、見た方は思い出してほしい。猫バスは、ほとんどいつも、にやにや笑っている。そして、映画の最後、にやにやを残して消えるわけである。
これは、チェシャネコそのものである。
チェシャネコはいつもにやにや笑い、そして、消える最後、にやにやだけを残して消えるのだ。
原作を読んだ方ならわかるだろうが、アリスはにやにやだけ残して消えてしまうチェシャネコを見て、
「にやにやだけのこすだなんて!」と、びっくり仰天の体である。
ここには、ルイスキャロルの遊びごころがある。
チェシャネコのもともとの由来は、英語で、チェシャーキャット(Cheshier cat)という表現が本当にあって、「わけもなくニヤニヤ笑う」という意味で使われているというところからきているのだが、ルイスキャロルは、そのことに注目して、にやにや笑いを強調しているのだ。
にやにやだけを残すだなんて、最近で言う、「ドーナツの穴だけ残して食べる)ようなものである。
さて、ぼくは、宮崎駿という人間に興味を持っていて、彼の仕事ぶり、発言、好きな本など、いろいろ調べた。
その結果、岩波少年文庫の100冊で、『ふしぎの国のアリス』が取り上げられているのに気づいた。
宮崎駿はアリスを読んでいることは間違いないだろう。つまり、宮崎駿は、「猫」と、「バス」と「チェシャネコ」を混ぜて、猫バスを作ったのである。
このように、チェシャネコと猫バスは、切っても切れない関係にある。
ところが、我々は、アリスをよく知っているくせに、猫バスをみても、「これはアリスから取ってきているのだ!」とは気づかない。僕自身、ずっとわからなかったし、まったくおかしな話だが、本当に、なかなか気づかないのだ。
なぜか。
ここからは個人の考察になるが、すなわち、猫バスには、バスという要素が非常に大きいからといえるだろう。
猫がバスに化けている! これはもう、びっくり仰天である。ほとんどだれも、考え付かない。
そしたら、もう、そのことが気になるのである。
あのおなかのなかはどうなってるのだろうか?乗れるのか?
そんなことばかり気になって、その猫が笑っていようが、消えようが、そんなことはあんまり気にならないのではあるまいか。
ちなみに、当時のバスの形はこんなだった。
あと、トトロも頻繁に笑っている。これも相まって、猫バスが笑うのは、自然なこととして受け止めてしまうのではないか。
このようにして、知ってか知らずか、宮崎駿は本当に巧みに「チェシャネコ」を「猫バス」に取り組むことに成功しているのである。つづく。
いろいろまとめ(^O^)
音楽(ピアノ)まとめ
http://op63op29pia30845.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
本まとめ
http://op63op29pia30845.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-1
文鳥まとめ
http://op63op29pia30845.blog.so-net.ne.jp/2015-07-08-1
絵まとめ
http://op63op29pia30845.blog.so-net.ne.jp/2015-07-08-2
2014-08-04 18:12
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